スガシカオを聴きだしたのはちょうど高校生くらいのことで、当時は夜空ノムコウの人だよね。くらいの印象だった。同級生にスガシカオを凄く推してる友人がいて、彼の影響で聴くようになった記憶がある。私はハルキストでもあったので、のちに村上春樹もスガシカオを聴くことを聴いて興奮した覚えがあるのだけれど、それはまた別の話。
そんなスガシカオ、ベストアルバムを出したくらいからあまり聴かなくなってしまって、それは配信サービスとかが充実しだして、それまでは一枚のアルバムをひたすらに聴いてたのに、広く浅く色々な音楽に良くも悪くも手を出すようになったことに起因すると思う。
それでも彼の新譜はちょくちょくチェックはしているのだけれど、やはり「SMILE」を超えるアルバムは以後出てないのではないかというのが個人的な感想です。当時リリースされるまでのドキュメント映像だかインタビューなんかも見た記憶があるのですが、彼の当時の苦悩がひしひしと切実なまでに伝わってくるような一枚。
なんといっても初っ端出だしの「Thank You」この一音目で全部持ってかれるのに、それにかぶせて流れてくる「ねぇ明日死んでしまおうかしら」という強烈な歌詞。初めて聴いた当時の衝撃ったらなかった。
その後に続く曲のどれもが卑屈さだったり、自己肯定感のなさであったり、どうしようもない焦燥感であったり、目の前に広がる絶望感、他者へのあこがれ、そういった陰鬱な世界を描いているのに、不思議と嫌な気持ちになることもなくすんなりと染み入ってくる。
いつ聴いても素晴らしい、個人的後世に残したい名盤。